脱貧困ブログ

ひきこもり、ニート、うつ病、障害者、ネットカフェ難民、ホームレス、パワハラ、貧困状態の人を助ける情報を発信して行きます

やさしさは頼りにならない。だからこそ、生活保護を勉強しよう!

先日、友人のA君(会社員・34歳)にこんな事を言われてしまいました。

「脱貧困ブログは、貧困当事者と向い合ってないと思う、もっと現場に出るべきだ!」

 

このブログ、脱貧困ブログの目的は、以下の二つです。

1・お金がない自分自身や自分と似た境遇の人達が貧困にならないためのアイディアを発表して行くこと

2・社会的に貧困を解決するための提案をして行くこと

この二つが目的なんです。

 

A君は、その二つの目的を知っているので、「当事者と今以上に向い合わなければ、目的を達成している事にならないんじゃないの!?」と、アドバイスしてくれているんですね。

確かに、と思いました。僕は月一でボランティアに行っているぐらいで、他にたいした事はしていません。

しかし、A君は違います。A君は積極的にホームレスの方々と会いに行き、食事を提供し、コミュニケーションをしているようなんです。

 

A君がホームレスの方々と向き合うようになったのは、三ヶ月前ぐらいから。

飲みに行った帰り道、いつもすれ違うホームレスの方に挨拶したのが、交流のきっかけだったと言います。

A君とホームレスの方々との交流は、それからも続き、やがて路上で一緒に飲む、飲み友達に発展して行きました。もちろん、飲み代はA君の奢りです。

A君は、胸を張って、こんなふうに話します。

「僕のやっている事は社会活動なんだよ、でも、脱貧困ブログがやっている事は単純にブログで貧困をテーマに表現するだけ、それじゃ何も変わらないよ」

言いたい事は解りますし、A君のやっている事はとても素晴らしいと思います。

だから、これからも続けてほしいと本気で願っています。

 

しかし、A君は大事な二つのポイントを見逃していると思うんですよ。

そのポイントとは、以下の二つです。

1・生活保護を勉強しないで、貧困当事者を支援しようとするのは危険であること

2・A君のやっている事は、社会活動ではなく、個人的な善意であること

 

僕は、A君にこの二つのポイントを意識しながら、ホームレスの方々と交流したほうがより上手くいくのではないか?と提案しました。

でも、A君には伝わらなかったみたいで、僕が話している間、ずっと不機嫌でしたけどね(笑)

皆さんはどう思いますか?なぜ、上記の二つのポイントが重要だと思いますか?

ちょっと、一緒に考えてみましょう。

 

どん底に落ちたら、生活保護しかない

僕は、A君にこんな質問をしてみました。

「もし、A君が交流しているホームレスの方々の一人が、病気になって倒れたらどうする?」

ホームレスになると、雨の日も風の日も路上にいる事になるので、体調を悪くしてしまい、病気になる事だってあります。

A君はこんなふうに答えました。

「そりゃ、救急車を呼んで、入院してもらうよ。それしかないでしょ?」

今度は、僕が答えます。「でしょ?じゃあ、入院したとして、その入院費は誰が払うの?A君が払うの?無理でしょ?だから、生活保護を勉強しておいたほうがいいよ、生活保護費で払うしかないんだから」

僕がこんな事を言うと、A君は驚いた顔でこんなふうに言いました。

「えっ?、住所が無いのに、生活保護って申請できるの?」

 

これは、あまり知られていません。が、生活保護は住所が無くても申請できるんです

確かに、生活保護法第30条では、「居宅保護の原則」と言って、「生活扶助は、被保護者の居宅において行うものとする」、という事になっています。

しかし、今、住所が無くても、現在いる場所の役所で仮の住所を申請できるという方法があるんです。この制度を使えば、今、住所が無くても生活保護を申請する事が出来るんですよ

ちなみに、生活保護のこのへんの知識は以下の本を読んでおくと、勉強できると思うので、ぜひ参考にしてみてください

路上からできる生活保護申請ガイド〈2012年度版〉

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あなたにもできる!本当に困った人のための生活保護申請マニュアル (DO BOOKS)

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14歳からわかる生活保護 (14歳の世渡り術)

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 んで、上記の知識を知っているかいないかで、だいぶホームレスの方達との関わり方が違って来ると思うんです。

たとえば、A君が交流しているホームレスの方が「生活保護を申請したい」と、言い出したとします。

もちろん、A君はホームレスの方と役所に行って、生活保護を申請しようとするでしょう。

しかし、役所の役員にこんな事を言われてしまうかもしれません。

「住所が無い人は生活保護を申請できませんよ」

これは、違法です。でも、役所の人間は時に違法な事を伝えて来る事があるんですよ

これを水際作戦と言います。

生活保護の水際作戦事例を検証する / 大西連 / 自立生活サポートセンター・もやい | SYNODOS -シノドス-

 

このように、A君が生活保護の知識を知らないままだと、「住所が無いと生活保護を申請できません」と言わた時、それをそのまま信じてしまう事になるんです

だからこそ、ホームレスの方々と交流して行くうえで、生活保護を勉強して行く事は重要になるんですよ。

 

A君はやさしい男です。だから、僕の大好きな友人の一人である事に間違いはない。

でも、悔しいけれど、やさしさは頼りにならないんです。だからこそ、生活保護を勉強しましょう。

とは言え、僕も専門家ではありません。まだまだ知らない生活保護の知識がたくさんあります。

ですので、生活保護に詳しいNPO団体を知っておきましょう。

特定非営利活動法人自立生活サポートセンター・もやい | もやいは、 自立をめざす生活困窮者の 新たな生活の再出発を お手伝いします。

特定非営利活動法人ほっとプラス - 全ての人がホッとできる福祉社会を目指して

そうすれば、いざとなったら、自分の足りない知識を学ぶ事が出来ます。

 

社会活動とは広い視点を持つこと

最後に、なぜA君のやっている事は社会活動とは言えないのか?を説明しましょう。

理由は簡単。それは、A君のやっている事はA君の知り合いのホームレスの人達にしか届いていないからです。

 

A君はホームレスの方々に食事やお酒を提供し、楽しくコミュニケーションをしている。

しかし、その他のホームレスの方達には、食事は届いていないし、もちろんお酒もない。

これでは、社会活動とは言えないんです。

 

なるべく、多くの困っている人達に支援が行き届くようにすること。

それを社会活動と呼ぶのではないか、と僕は考えています。

具体的に言うと、炊き出しのような活動ですね。勘違いしないでほしいのは、A君がやっている事も必要だと僕は思っています。ただし、社会活動ではないという事をはっきりさせたほうがいいと思っているというだけです。

どうでしょうか?やさしさは頼りにならない。だからこそ、知識を身につけて行く事が重要になって来ます。

 

共に、生活保護と社会活動に目を向けて行こうではないか?!