生活保護の問題点は扶養照会にあると思う3つの理由
by:a4gpa
ある条件を充たしていれば、誰でも生活保護を使う事が出来ます。
では、その条件とは何か?大きく分けて以下の3つです。
その1・収入が最低生活費以下であること
その2・活用できる資産がないこと
その3・経済的に助けてくれる身内がいないこと
一つ一つ説明して行きましょう。
まず、その1の収入が最低生活費以下であること。
最低生活費というのは、「国として『健康で文化的な最低限度の生活』を送るためには、今の日本の社会ではこれくらいのお金がかかりますよ」という額です。
厚生労働省が定めています。たとえば、東京での一人暮らしだと、生活費と住宅費合わせて月12~13万円かかると考えらえているんです。
だから、あなたの月の収入が12~13万円以下であれば、生活保護を利用できる可能性が高いという事なんですよ。
次に、その2の活用できる資産がないこと。
これは、解りやすいですね。要するに、貯金があるなら、貯金を使ってください。
土地や家があって、売れる状態ならば、それを売って現金化してください。
また、高価な貴金属などを持っているなら、それも売ってください。
それでも駄目なら生活保護を検討しましょう、という事ですね。
最後に三つ目の経済的に助けてくれる身内がいないこと。
これも解りやすい。家族、親、親戚が支援してくれるなら、生活保護を使わないで、親、家族に助けてもらってください、というのが国の法律です。
さて、生活保護の3つの条件を見て来ました。
皆さんは、どんな感想を持ったでしょうか?きっと、「条件が思っていたよりも厳しいなぁ~」と、考えた人も多いと思います。
3つの条件をすべてクリアしている人でなければ、生活保護は使えない。それは、本当に誰にも頼れない、何も無い状態にならなければ生活保護が使えない事を意味しています。
中でも、僕が最も厳しいと感じたのは、3つ目の経済的に助けてくれる身内がいないこと、という条件です。
実は、生活保護を使ううえで、扶養照会(ふようしょうかい)というものがあります。
たとえば、もしあなたが生活保護を申請すると、行政の職員があなたの親や親族に、「子供さんが生活に困窮していて、生活保護を申請されました。親御さんの方で経済的な支援は出来ませんか?」と、確認して来ます。
これを、扶養照会と言い、3つ目の条件から来る法的な手続きです。
ただ、近年、3つ目の、経済的に助けてくれる身内がいないこと、という条件が大きな問題になっています。
どんな問題が起きているか、ちょっと説明させてください。
大きく分けて、3つあります。
その1・虐待する親、DVする夫にも確認するの?
勘の鋭い方は、ここまで読んで、「あれ?」と思った人がいるかもしれません。
「3つ目の条件は重要だと思うけど、親や結婚している夫が虐待、DVをして来る奴で、子供(20代前半)や妻が逃げて来た場合、それでも扶養照会をしなきゃ駄目なの?居場所がバレるじゃん」
こんなふうに思った人いませんか?、やっぱり、疑問に思いますよね?
答えを言うと、親や夫が虐待、DVをする人で、逃げて来た場合、扶養照会をしなくてもいいという事になっています。
やっぱり、扶養照会をしてしまったがために、虐待やDVする親、夫にみつかってしまう可能性があるんです。たとえ、虐待する親や夫が経済的に裕福だったとしても、その場合、3つ目の条件は適用されません。
しかし、問題は、生活保護を申請しようとしている当事者が、虐待する親や夫に連絡しないで生活保護を使える事を知らないという事なんですよ。
知らないがために、生活に困窮して生活保護を利用しようと思っても、虐待、DVする親や夫に連絡されるのを怖がって、生活保護を断念するという人がいるんです。
また、虐待、DVをする人達は、家の中では暴力的ですが、外では経済的に自立した立派な社会人に見えます。ですので、行政の職員は虐待やDVをする親や夫の外ズラの良さに騙されて、うっかり扶養照会してしまったという問題が起きていたりします。
これが、まず一つ目の問題です。
その2・虐待ではないが親や夫と仲が悪い人はどうなるの?
ここで、二つ目の疑問が出て来ます。
「虐待、DVとまでは言えないけど、親や夫と仲が悪い人はどうなるの?その場合、扶養照会されるの?」
結論から言うと、扶養照会されます。虐待、DVではなく、単に仲が悪いだけでは扶養照会されてしまうんです。
この場合、いくつもの危険がひそんでいます。
皆さんも想像がつくと思います。今は単に仲が悪いだけだったとしても、親や夫と一緒に住む事になって、喧嘩ばかりするような毎日を送れば、結局、虐待、DVに発展してしまうのではないか?、という危険性です。
これは、法律的に見ても、とても繊細な部分です。なので、専門家ではない人が一人で解決できる問題ではありません。
しかし、生活困窮者を長年、支援して来たNPO団体や弁護士団体は、法律の抜け穴、裏技的な部分を知っていたりします。もし、あなたが生活に困窮して、生活保護を検討しているんだけど、扶養照会を心配しているのなら、まずは支援団体に連絡する事をオススメします。
以下の団体に連絡してみてください。
特定非営利活動法人自立生活サポートセンター・もやい | もやいは、 自立をめざす生活困窮者の 新たな生活の再出発を お手伝いします。
特定非営利活動法人ほっとプラス - 全ての人がホッとできる福祉社会を目指して
こちらのガイドもご覧ください↓支援先がたくさん載ってます
仲が悪いだけだと、親や夫に扶養照会されてしまう。
しかし、その事が新たな虐待やDVを生む火種になっているのではないか。
これが、二つ目の問題点です。
何十年も会っていない自堕落な親の面倒もみるの?
次に、三つ目の問題です。
これまで、解りやすくするために、子供(20代前半)や妻という言葉を使って来ました。
ここでは、子供はどんな親でも養わなければいけないのか?、という問題を考えてみましょう。
想像してみてください。
仮にAさんという男性がいたとします。Aさんは学生の頃から、父親の事で苦労して来ました。
父親は、酒好きでギャンブル好きの自堕落な男。Aさんは、幼少期、父親に殴られながら育ちました。そんな幼少期を過ごすうちに、Aさんは決意します。「高校を卒業したら、就職して、家を出て母親と一緒に暮らす」。
やがて、Aさんは大人になり、立派な社会人になりました。結婚をして、子供も生まれて、奥さんと子供、母親の4人で幸せに暮らしています。
しかし、そんな時、通知が来ました。それは、父親が生活保護を申請したので、経済的に支援してください、という内容でした。扶養照会です。
きっと、「はぁ?、何でそんな父親の面倒をみなきゃいけないの?」と、ムカッとした読者の方がいる事でしょう。気持ちは痛いほど、解ります。
しかし、法律的には、3つの条件の三つ目があるので、扶養照会が適用されてしまうんです。
親族なので、何十年も会っていない縁を切った親でも養わななければいけなくなってしまう可能性が出てしまう。
これが、三つ目の問題点です。
まとめ、家族が養うのは限界です
ここまで、読んで来てどう感じたでしょうか?
日本の生活保護法がいかに家族に問題を押しつけているのかが解ったと思います。
このままだと、ますます家族、親族の負担が大きくなり、生活困窮者とその家族も倒れるという、一億総共倒れ現象が悪化していくばかりです。
僕は、ブロガーとして、この問題が解決されるまで訴えて行きたいと思います。
共に、生活保護、扶養照会の問題を指摘して行こうではないか?!