人は嘘がないと生きていけない、嘘も方便は本当です
嘘も方便、という言葉をご存じでしょうか?
物事を上手く進めるためには、嘘をつく事も必要だ、という意味です。
私は、この『嘘も方便』という言葉を20代の頃、信用していませんでした。
無駄に正義感があったので、『嘘をついて、相手と向かい合う事は、不誠実だ』、と思っていたんです。
もしかしたら、これをお読みの皆さんも、『嘘はいけない』と、思っている人がいるかもしれない。
たとえば、恋人なんだから嘘をつくのは良くない。
親友なんだから嘘をつくのは、良くない。
友達なんだから嘘をつくのは、良くない。
そんなふうに、思っているかもしれない。
でもね、本当に相手を大事に思うなら、時には嘘をつく事も必要なんです。
そして、相手が信じている嘘を、むやみに否定したりしないで、しっかりと向かい合う事が大切なんですよ
今回は、嘘の大切さをお伝えしたいと思います
嘘を信じ続けた友達の話し
20代の若い頃、宗教にハマっている友達Aくんがいました
彼は、熱心な信者で、強引な勧誘をしていました。
そのやり方を心配した私は、『そんな強引な勧誘は辞めたほうがいい』と、何度も注意したんです。
そして、Aくんが信じる宗教は信用できない、怪しいから、辞めたほうがいい、と忠告しました。
でも、Aくんは、まったく聞いてくれません。
「自分の信仰心にケチをつけるな、とてもいい団体なんだ!」と、怒るんです。
しかし、私に言わせれば、Aくんが信じている宗教団体は、嘘だらけのように思えたんです。
どう考えても、信者に強引な勧誘をさせる団体が、良い団体だ、と思えなかったんですよ。でも、結局、Aくんとは、喧嘩別れになってしまいました。
べつに、宗教そのものを否定したいわけじゃありません
ただ、信者に強引な勧誘をさせるような宗教を辞めさせたかった、だけなんです。
でも、今なら、厳しく意見を言ったり、早急に辞めさせよう、としたりしません。
それは、ある一つの真実を理解できるようになったからです
人は、嘘がないと生きていけない
黒澤明監督作品の『どん底』という映画があります。
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その映画の登場人物がこんな言葉を言うんです。
『人は、嘘というつっかえ棒がないと生きていけねぇんだよ』
この言葉は、僕にとって衝撃的でした。
そして、その時、思ったんです。
私は、A君の嘘というつっかえ棒を外そうとしていたんじゃないか?、と。
A君が信仰していた宗教は、あまり評判の良い宗教ではありませんでした。
でも、だからと言って、厳しく宗教を辞めるように言ったのは、大きな間違いだった、と思うんです。
もっと、時間をかけて、感情的にならないで、伝えていくべきだった、と思うようなりました。
なぜなら、人が生きていくために、嘘というつっかえ棒が必要だからですよ
もちろん、どうしても、嘘をつかないで、真実を言わなければいけない時はあります。
しかし、そんな時も、嘘というつっかえ棒があるからこそ、人は、生きていける事を理解しながら、じっくりと優しく伝えていく必要があるんです。
いきなり嘘というつっこえ棒を外すような事をしちゃいけない。
ぜひ、皆さんも考えてみて。
共に、嘘も方便を忘れないようにして行こうではないか?!