地方に移住は貧困対策になるのか?多拠点居住論について考えてみた!
現代の貧困問題を解決するためには、つながりが不可欠だ、と考えています。
想像してみてください。
もし、あなたが運悪く、ブラック企業に就職してしまい、パワハラ、サービス残業などが原因でウツになってしまったとします。
あなたは、仕方なく、会社を退職しなければいけなくなり、しばらく休む事を余儀なくされました。
そうなると、ゆっくりゆっくりと貧困が忍び寄って来るんです。
「貯金があるから、すぐに貧困状態にはならないよ!」と、思うかもしれません。
しかし、脅すわけではありませんが、その貯金も頼れなくなる日が必ず来ます。
考えてみれば、当然ですよね?だって、ウツで働けない状態が続くわけですから。
さぁ、そこで質問です。こんな困った状態になった時、頼れる人がいますか?
家賃が払えるか、だんだんと心配になって来ますよね?
きっと、「とりあえず、実家に住むから、大丈夫!」、「友達がやってる安い家賃のシェアハウスに住むから、大丈夫!」、「恋人の家にしばらく住まわせてもらうから、大丈夫」などの返答をする人がいると思います。
これらの返答を聞いてみると、「さすが、先進国!日本には、なんだかんだでセーフティネットが用意されているんだなぁ~」と、感じる人もいるでしょう。
けれど、本当にそうでしょうか?
もし、家族と仲が悪くて、頼れない状態だったら?
もし、コミュニケーションが下手で友達がいなかったら?
もし、異性との接し方が解らなくて、恋人がいなかったら?
その場合、国が用意したセーフティネット、生活保護に頼るしかないんです。
これが、この国の現実なんですよ。
普段、貧困とは縁のない人のように見える人でも、突然、目の前に貧困がリアリティのある事柄として出現して来る。それが、貧困と言うものなんです。
人は他者とのつながりが無くなると、簡単に貧困になってしまう。この現象を、あるNPO法人の代表は、関係性の貧困と名づけていましたが、言い当て妙だと思います。
僕はこの想いを胸に留めながら、一般人の僕らが出来る貧困対策は、ゆるい人のつながりをたくさん作って行く事だと考えました。
そんな想いから、2015年は本当にたくさんの人とお会いして来た、と自負しています。
ブロガーの集まりやイベント、交流会、オフ会と呼ばれるものには、時間が合えば参加するようにしました。その甲斐あって、「オフ会、交流会には、いつもあいつがいる!」と、言われるようにまでなりました(笑)
少しずつですが、個人レベルでつくる相互扶助のためのコミュニティが出来ていると実感しています。
ですが、ほんの少し不満もあるんです。
その不満とは、自分のつながりはすべて都内限定のものである、という事です。
地方の人とのつながりがほとんど無いんですよ。
「べつに、都内だけでも問題ないじゃん!?」と、ツッコミたくなった読者の方がいるかもしれません。
でもね、どうやら、地方にも人とのつながりを作って行く方が良いみたいなんですよ
今日は、僕に、地方の人とのつながりがちゃんと貧困対策になる事を教えてくれた2冊の本をご紹介しましょう。
- 作者: つるけんたろう
- 出版社/メーカー: 朝日新聞出版
- 発売日: 2014/08/20
- メディア: コミック
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- 作者: 伊藤洋志,pha
- 出版社/メーカー: 東京書籍
- 発売日: 2014/04/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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この2冊、なかなかワクワクする本でしたぁ~
今回は、この2冊を参考書に、「地方と貧困対策」について語りたいと思います。
まずは、貧困対策というテーマに絞って、地方に住むメリットとデメリットを考えて行きましょう
(地方に住むメリット)
その1・家賃が安い、もしくは0円
漫画家、つるさんは、尾道で年収200万円で生きている! pic.twitter.com/l0IUuAL2Ny
— 浅野健太郎 (@billywilder8) December 16, 2015
先ほど、紹介した「0円で空き家をもらって東京脱出」の漫画家・つるけんたろうさんは結婚して、奥さんと一緒に貧乏生活をしています。
ちょっとプロフィールをご紹介しますね
つるけんたろう
1977年生まれ、熊本県出身
東京で細々と漫画やイラストを描いて貧乏生活していたが、2008年、なんの因果か広島県尾道へ移住。
築80年の古民家を0円でゲットし、新たな貧乏生活を始めた。
いかがでしょうか?僕がこのプロフィールで面白かったのは、つるさんが尾道に移住しても結局、貧乏生活のままである、というところです(笑)
自然に、「つるさん、結局、貧乏生活のままなのに、なぜわざわざ移住したの?」と、疑問に思う方が出て来ると思います。
答えは、簡単で、漫画のタイトルにもあるように、「0円で空き家をもらえた」からですよね。
要するに、地方では家賃が安く抑えられる可能性が高いわけです。
これも一つのメリットですね。
つるさんは、漫画の中でこんな事を書いています。
年に一度の固定資産税もたったの一万円以下。
斜面地は法律上、新築が立たないし、駐車場にも出来ないので土地の価格が安いんです。
(中略)つる家は車を運転しないし、もってもいません。
尾道くらいの町なら、あまり不便はありません。主な交通手段は徒歩、自転車、電車で東京にいる時と同じです。
交通手段は一つのポイントですね。
その2・消耗しない
漫画家つるさんの東京でのモヤモヤした日々! pic.twitter.com/KiQcVZh18J
— 浅野健太郎 (@billywilder8) December 16, 2015
皆さん、ご存じ、プロブロガー、イケダハヤトさんのブログ「まだ東京で消耗しているの?」というタイトルが示すように、東京は確かに消耗します。
つるさんの漫画を読んでみると、つるさん自身が尾道に移住する事によって、東京で感じる生きづらさから脱出している事がよく解るんです。でも、その分、地方特有のめんどくささは発生していると思うんですよ。
それは、ズバリ、人とのつき合いが増えるという事です。
だから、結局、地方には地方の消耗があるし、東京には東京の消耗があって、どちらにもマイナス、プラスがあると思うんですよね。
ただ、やっぱり、あの東京に住む人なら誰もが味わう毎日同じことを繰り返す感じからは、抜け出す事が出来るようなんです。
これも、漫画から引用してみましょう。
ぼんやりと漫画家を目指して上京した僕は山梨の大学を中退。
東京郊外の安アパートで暮らしていました(家賃1K42000円)
絵に描いたような東京での貧乏ライフ。漫画はたいてい入賞止まりで、才能も根気もなく、当然、停滞。
なんとか手にした原作付漫画やイラストの仕事と立川の本屋での週5日のアルバイト。
来る日も来る日もそれらの繰り返しの日常。
正直、これ僕の毎日の生活とほとんど変わらないんですよね(笑)
違いと言ったら、僕はフリーライターをやっていますが、つるさんは漫画家である、というぐらいです。あと、僕は結婚していないけど、つるさんは結婚している。
それぐらいの違いで、東京での消耗の仕方はまったく同じなんですよ(笑)
そのへんがこの漫画に影響を受けた大きな理由です。
つるさんの東京での消耗が尾道に向かわせたのは間違いないでしょう。
漫画では、心の叫びを描いています。
モヤモヤしている、つるさん! pic.twitter.com/CPATvtt13o
— 浅野健太郎 (@billywilder8) December 16, 2015
もしやオレはこの都会で、いたづらに人生を消耗しているだけじゃないのか?
本当にこれでいいのか・・・?
結局、つるさんを尾道に向かわせたのは、東京での消耗だったわけです。
これは、もしかしたら東京にいるすべての人に共通しているのかもしれません。
そんな事を考えて行くと、地方での消耗を選ぶか?東京での消耗を選ぶか?という究極の問いが浮上して来ると思うんです。
どちらの消耗が自分に合っているか?という事ですね。
(地方移住のデメリット)
その1・コミュニケーションが濃厚
やっぱり、地方生活はコミュニケーションが命です。
つるさんも漫画を読む限り、東京にいる頃よりアグレッシブに活動されているのが解ります。
たとえば、自ら左官作業で家を直して住む、空き家を利用して卓球屋を作る、漫画の最後には仲間と一緒にゲストハウスまで作っちゃいます(笑)
やはり、ここまでアクティブにコミュニケーションしないと、地方では生きていけないんですよね。
なので、コミュニケーションが苦手な人には、そもそも移住は出来ないと思います。
まぁ、僕はコミュケ―ションが得意ではありませんが、苦手でもないので(笑)、やろうと思えばやれると思います。
しかし、いざ、住所をうつすとなると、不安がやって来る。
結局、冷静にメリット、デメリットを考えてしまうと、一歩踏み出せなくなってしまうんですよね(笑)
よって、多くの人が「しょうがないから、東京にいるかぁ~」と諦めてしまう。
何か良いアイディアはないかしら?と考えている時に、2冊目の本に出会ったんです。
この本のおかげで、良いアイディアがみつかりました。
多拠点居住のススメ!
- 作者: 伊藤洋志,pha
- 出版社/メーカー: 東京書籍
- 発売日: 2014/04/28
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
- この商品を含むブログ (6件) を見る
良いアイディアとは、多拠点居住のこと。
この本の表紙には、こんなキャッチフレーズが書いてあります。
「ふるさと」は、自分でつくってもいい。
暮らしの拠点は一カ所でなくてもいい。
都会か田舎か、定住か移住かという二者択一を超えて、「当り前」を生きられるもう一つの本拠地、フルサトをつくろう!
多拠点居住で、「生きる」、「楽しむ」を自給する暮らし方の実践レポート。
「これだぁ!」と思いました。
都会か田舎か、定住か移住かという二者択一を超えて、という言葉に衝撃を受けたんです。
べつに、地方か都会か、どちらかを一つを選ぶ必要はないんですよ。
どちらも行けるように選択肢を広げていけばいいんです。
これは、当ブログがずっと訴えて来た「居場所複数論」にも通じる考え方です。
どうでしょうか?なんだかワクワクして来ましたね?
2016年は、多拠点居住に向けて、動きます。
ちなみに、イケハヤさんのこの記事がとても参考になりました。ぜひ、ご覧あれ↓
共に、多拠点居住を究めて行こうではないか?!